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SESのプロジェクト途中退職はできる?法的根拠と円満に退職する手順

SESのプロジェクト途中退職はできる?法的根拠と円満に退職する手順

SESエンジニアはSES企業と契約するエンジニアであり、客先に常駐する形で業務に従事します。

雇用契約の関係からプロジェクト途中に退職したくなったときに「期間が満了するまで辞められないのではないのか」「トラブルになったらどうしよう」といった悩みを持つ方が少なくありません。

とはいえ、結論から言うと、契約期間内でプロジェクトの途中であっても退職することは可能です。

この記事では、プロジェクト途中であっても退職できる理由や辞める際の流れを解説します。また、引き継ぎ手順やトラブルへの対処法も紹介するため、途中退職を検討している方は参考にしてください。

目次

【結論】契約期間内でもプロジェクト途中退職は可能です

【結論】契約期間内でもプロジェクト途中退職は可能です

SESエンジニアであっても、契約期間の途中であっても、法的には退職が可能です。労働者には退職の自由が民法で保障されており、2週間前の意思表示で雇用契約を終了できます。

ただし、現場に迷惑をかけずに辞めるには、手順を踏んだ段階的な退職が重要です。以下では、トラブルを防ぎながらプロジェクト途中での円満退職を実現する方法を具体的に解説します。

会社間の契約とあなたの雇用契約は別物

SESエンジニアが退職を検討する際、「客先との契約があるから辞められない」と誤解されることが少なくありません。しかし、ここで明確にしておくべきなのは、SESにおける契約関係は二重構造になっているという点です。

基本的に、SESエンジニアはSES企業と雇用契約を結び、客先で働きます。そのため、法的に雇用主は客先ではなくSES企業です。一方で、SES企業と客先企業は、業務委託契約や準委任契約といった法人間の契約を結んでいます。

この2つの契約は法的に完全に別物であり、SESエンジニアの退職は労働契約に基づいて処理されます。つまり、退職するか否かはSESエンジニアとSES企業で交わされる話で、客先との契約を理由に辞められないといったことはありません。

もちろん、SES企業にとっては取引先との信頼関係があるため、突然の退職が好ましくないケースもありますが、法的には退職する権利が優先されます。

民法627条により2週間前の申し出で退職可能

民法第627条第1項では、期間の定めがない雇用契約の場合、退職の2週間前に申し出ることで契約を解除できると明記されています。この法律はSESに限らず、すべての労働者に適用される基本ルールです。

(出典:e-GOV「民法」

SESエンジニアの多くは、正社員または契約社員としてSES企業と雇用契約を結んでいるため、この条文が適用されます。たとえプロジェクトの途中であっても、2週間前に退職の意思を示せば、法律上は退職が成立するという意味です。

ただし、有期雇用の場合、契約期間内の退職は企業が拒否できます。また、病気やケガなどのやむを得ない事情を除き、契約途中で退職する際は損害賠償を求められる可能性もゼロではありません。

ただし円満に退職するには就業規則に則るべき

法的には2週間前の申し出で退職は可能ですが、「揉めずに退職する」こととは別の話です。円満退職を目指すなら、就業規則に沿って行動する必要があります。

多くのSES企業では、就業規則に「退職希望日は1か月以上前に申し出ること」や「業務の引き継ぎ責任」などが明記されています。これらの規定は、円滑な業務運営と他メンバーへの影響を抑えるためのルールです。

たとえ法的には2週間で辞められるとしても、規定を無視して退職する行為は関係性を損なう原因となります。業界内で悪い噂が流れる可能性も否定できません。

就業規則に則ってスケジュールを立て、誠実な対応を心がけることで、トラブルのない円満な退職が実現できます。

プロジェクト途中でも円満退職する5ステップ

プロジェクト途中でも円満退職する5ステップ

プロジェクトの途中であっても、計画的に行動すればトラブルなく退職することは可能です。ここでは、SESエンジニアが揉めずに退職するための5ステップを、転職状況に応じた分岐を含めて解説します。

0.転職先が決まっているかで方針を変える

まず確認すべきことは、転職先がすでに決まっているかどうかです。次の仕事が決まっているかどうかで、退職までのアクションの優先順位や進め方が変わります。

すでに転職先が決まっている場合は、入社日から逆算して退職希望日を確定し、就業規則や有給消化の計画を立てることが必要です。このとき、転職先に退職が確定していないことを伝えておくと、調整しやすくなります。

一方で転職先が未定の場合は、退職の意思表示の前に今後の生活設計や転職活動の目処を立てることから始めましょう。焦って退職すると無収入期間が長引き、精神的・金銭的に不安定になります。

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1.就業規則を確認し退職希望日の目安をつける

退職の意思表示をする前に、まずは自社の就業規則を確認しましょう。この段階で把握すべきなのは、次の2点です。

  • 「退職は〇日前までに申し出ること」という申告期限
  • 「有給休暇の取得ルール」や「退職日との関係」などのその他規則

就業規則には、退職に関する手続きや提出書類の種類・期限が明記されている場合がほとんどです。特に、有給休暇を退職前にまとめて取得したい場合は、早めのスケジュール調整が必須です。

就業規則を読み込んだうえで、現実的な退職希望日を逆算しましょう。例えば「1か月前申告」の規定があるなら、有給を使いたい期間も考慮して1.5~2か月前には動き出すのが理想です。

2.まず自社の直属の上司に意思表示する

退職の意思は、必ず自社の直属の上司へ最初に伝えましょう。客先での人間関係が良好な場合でも、退職の伝達は必ず雇用元であるSES企業の判断を仰ぐのが絶対です。

SES企業が退職の経緯を把握していない状態で客先に伝えると、信頼関係が崩れたり、トラブルが表面化したりするリスクがあります。

退職を切り出す際は、退職理由や希望日、引き継ぎの考えなどを簡潔に伝えつつ、冷静に話すことが大切です。また、記録を残すために、口頭で伝えたあとにメールや書面でフォローしておくと安心です。

3.自社と合意後に客先へ報告する

ほとんどの場合、自分から客先へ退職する旨を伝えることはありません。業界では、退職する旨を自社より先に客先へ伝えるのと同じくらいやってはならないNG行動となっています。

合意を得てからは、自社営業担当から客先営業担当に話を通してもらうのが基本です。契約は営業担当の動きによって成り立っていることから、自分から直接現場へ報告する行為は控えましょう。

4.退職届の提出と有給消化スケジュールを調整する

退職の意思が正式に認められたら、退職届を提出し、有給休暇の取得スケジュールを調整します。大切なのは、有給取得の拒否をされないよう、早めに具体的な日程を提示することです。

法律上、有給取得は労働者の権利として保障されています。退職が決まっているからといって、会社側が一方的に拒否することはできません。ただし、業務の繁忙期やプロジェクトの状況によっては、調整が必要になる場合もあります。

そのため、引き継ぎ計画とあわせて有給取得スケジュールを提示し、上司と建設的に話し合いましょう。また、退職届と退職願の違いにも注意し、退職が確定したあとの正式書類として退職届を出すのが一般的です。

5.業務の引き継ぎや貸与物を返却する

最後に、業務の引き継ぎと会社からの貸与物の返却を確実に行うことが、円満退職の締めくくりになります。

引き継ぎは、業務マニュアルやタスク管理ツールを活用して担当範囲や進捗、関係者や注意点などを整理した資料を作成するとスムーズに進みます。可能であれば、引き継ぎ期間中に1回は口頭での説明時間も設けましょう。

また、PCやスマホ、セキュリティカードや名刺など、会社から貸与されたすべての物品は退職日に返却が必要です。なお、一部例外で有休消化の関係で最終稼働日が退職日前になる場合は、最終稼働日に返却することもあります。

忘れ物があると、後々のトラブルや返送対応が発生する恐れがあります。

SESエンジニア特有の引き継ぎチェックリスト

SESエンジニア特有の引き継ぎチェックリスト

SESエンジニアの引き継ぎは、社内エンジニアの退職とは違い、常駐先との信頼関係を維持したまま情報共有することが重要になります。特にこれから伝える項目を漏れなく確認・実行することが、円滑な退職とプロジェクトの安定運用に繋がります。

アカウント/アクセス権限の譲渡と削除

退職時にまず対応すべきなのが、各種アカウントやアクセス権限の整理です。プロジェクトの進行に使っていた下記のようなツールを洗い出し、必要に応じて権限の移譲や削除を行いましょう。

  • 社内・客先のシステム(社内ポータル、会計・勤怠管理など)
  • ソース管理ツール(GitHub、Bitbucketなど)
  • コミュニケーションツール(Slack、Teams、Chatworkなど)
  • タスク・ドキュメント管理ツール(Notion、Backlog、Confluenceなど)

アカウントの削除や引き継ぎが漏れると、情報漏洩のリスクや、後任の業務支障に繋がる恐れがあります。特にSaaS型サービスは個人のメールアドレスで登録しているケースもあるため、権限が残ったまま退職しないよう、一覧を作成して上長や管理者に提出するのがおすすめです。

ソースコード/リポジトリの管理権限を移行

SESエンジニアとしてシステム開発に関与していた場合、ソースコードやリポジトリの管理体制の引き継ぎが極めて重要です。特にGitなどのバージョン管理システムを使用していた場合、下記の対応が必要になります。

  • 自分が管理者・メンテナとして登録されているリポジトリの確認
  • 新しい担当者への権限移譲(Owner、Adminなど)
  • ブランチやPull Requestの整理
  • 自分名義のSSHキーやアカウント設定の削除

これらの引き継ぎを怠ると、後任者がコードを更新できなかったり、トラブル時の修正作業が滞ったりする原因になります。また、退職後に自分のアカウントでアクセス可能な状態が続くことは、セキュリティ面での大きなリスクとなるため注意が必要です。

業務終了の数日前には、関係者と一緒に最終確認を行い、権限整理が完了しているかをチェックしておくと安心です。

設計書や運用マニュアルの整備

業務の引き継ぎで最も手間がかかるのが、設計書や運用マニュアルの整備です。日々の作業を口頭やチャットベースで進めていた場合、ドキュメントが整っていないことも珍しくありません。

そのため、退職前には次の資料を可能な限り整備する必要があります。

  • システム構成図
  • 各種設計書(機能設計書、API仕様書など)
  • 日々の運用手順書(障害対応、データ登録フロー、定例会の進行等)
  • よくある問い合わせとその対応履歴

ドキュメント化の目的は、後任者が自分なしでもプロジェクトを理解・運用できる状態にすることです。作業手順だけでなく、なぜそうしていたのかという背景や判断基準も記載しておくと、引き継ぎの精度が高まります。

辞めさせないなどのよくあるトラブルの対処法

辞めさせないなどのよくあるトラブルの対処法

SESエンジニアがプロジェクト途中で退職を申し出ると、企業側からさまざまな引き止めや圧力がかかるケースがあります。しかし、法律上は退職の自由が保障されており、不当な圧力に従う必要はありません。

ここでは、現場で起きがちなトラブルとその対処法を解説します。

「後任が見つかるまで待て」は拒否してOK

退職を申し出た際、「後任が見つかるまでは辞めさせられない」と引き止められることがあります。しかし、これは法的には成立しない主張です。

民法627条により、労働者は2週間前に申し出れば退職できる権利があります。後任の有無は企業側の都合であり、労働者が待つ義務はありません。引き止めが続く場合は、「退職は法律に基づく意思表示である」と冷静に伝え、文書でも残すようにしましょう。

損害賠償をほのめかされる

退職の話を進めるなかで「賠償請求する」といったプレッシャーをかけられるケースもあります。有期契約ではやむを得ない事情がない限り、期間途中で退職できず、損害賠償の話が出る場合もゼロではありません。

そのため、期間内に途中退職を告げた際に損害賠償の話が出てきたときは、脅し文句ではなく実際に請求される恐れがあることを知っておきましょう。

万が一そのような発言があった場合は、会話の記録やメールの保存を行い、事実を残しておくことが大切です。

有給休暇の消化を拒否された場合

退職時に有給休暇を取得しようとした際、「忙しいから無理」「後任がいないからダメ」といった理由で拒否されることがあります。

実際に労働基準法第39条でも、有給休暇は労働者の正当な権利であると述べられているのが事実です。とはいえ、企業には労働者の有給休暇取得日を別日に変更できる、時季変更権という権利があります。

(出典:e-GOV「労働基準法」

退職が絡むときは残された出勤日数の都合上、時季変更権を行使できないことがほとんどで、有休消化をしぶしぶ承諾する企業も多くあります。しかし、円満退社を目指すのであれば企業と話し合いのうえ、双方が納得できる形で折り合いをつけることが重要です。

揉めたときはエスカレーションフローを進める

退職を巡ってトラブルが起きた場合、感情的にぶつかるのではなく、冷静にエスカレーションフローを進めることが大切です。まずは直属の上司と話し合い、それでも改善が見られない場合は、次のステップで対処しましょう。

  1. 自社の人事・総務部門への相談
  2. 社外の労働組合(ユニオン)への相談
  3. 労働基準監督署へ通報・申告
  4. 必要であれば弁護士への相談(初回無料の法律相談も活用)

特に、労働組合や労働基準監督署は、退職や労働条件のトラブルを日常的に扱っており、対応も迅速かつ実務的です。「話が通じない」「嫌がらせがある」といった状況に陥ったときは、一人で抱え込まずに外部リソースを使うことで、安全に退職できます。

途中退職をネガティブにせず次のキャリアへ繋げるために

途中退職をネガティブにせず次のキャリアへ繋げるために

プロジェクト途中で退職する場合、タイミングによっては後ろめたさや不安を感じることも少なくありません。しかし、ただ辞めるのではなく意味のある決断に昇華できれば、キャリアの節目として十分に価値ある行動になります。

そこで大切なのが、途中退職の経験を整理し、次にどう活かすかを明確にすることです。理由を曖昧にしたまま転職活動を始めてしまうと、「また同じことを繰り返すのでは」と面接で懸念を持たれる可能性もあります。

これから紹介する3つのステップを踏むことで、ネガティブな印象を払拭し、前向きなキャリアチェンジへと繋げられるでしょう。

1.途中退職の必要性を言語化する

途中退職を次のキャリアに活かすには、まず自分自身がなぜ辞める必要があったのかを言語化することが欠かせません。感情的な理由だけでなく、構造的・環境的な課題にまで踏み込んで分析することが必要です。

例えば、「案件ガチャに振り回されて成長実感が得られなかった」「キャリアパスが見えない環境で不安が大きくなった」など、納得性のある背景を整理することで、次の転職活動にも軸が生まれます。

退職する理由を言語化できれば、志望動機を伝える際にも役立ちます。また、面接時に途中退職を問われた際にもロジカルに説明できれば、短期離職のマイナス印象も最小限に抑えられるでしょう。

2.2度と同じ失敗をしない企業選びの軸を決める

途中退職の原因を明らかにしたあとは、今後の企業選びで何を重視すべきか、自分なりの判断軸を定めることが必要です。この軸が定まっていないと、再び環境や人間関係でミスマッチが生じる恐れがあります。

具体的には、次のような観点をもとに、自分が重視したい軸を考えてみましょう。

  • アサイン前に案件内容や技術スタックを確認できるか
  • 評価制度や昇給ルールが明確に整備されているか
  • キャリア相談ができる上司やチーム体制があるか
  • 労働時間・常駐形態・リモート有無などの働き方に柔軟性があるか

特にSES業界では、「入社前に情報が開示されにくい」「入ってみないと現場がわからない」といった構造的リスクがあります。そのため、事前に企業選びの軸を持つことは自衛の意味でも重要です。

3.IT業界に特化したエージェントへ相談する

企業選びの判断軸が見えてきたら、自分だけで探すのではなく、IT業界に特化した転職エージェントに相談するのが効果的です。特にSES業界の構造に詳しいエージェントであれば、自分の希望や懸念を踏まえた求人提案が受けられます。

また、ITエンジニアの転職支援に慣れているアドバイザーであれば、面接での退職理由の伝え方や職務経歴書の整理についても具体的なアドバイスが得られます。

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リスクを正しく恐れ次のステージへ進みましょう

SESのプロジェクトは途中であっても退職することは可能です。法的に2週間前に申し出ることで退職できることが明記されており、辞めることに伴う損害賠償も基本的には発生しません。

とはいえ、後先を考えずに退職したり就業規則に沿わずに一方的に退職を迫ったりする行為は、業界内で噂が立ち、今後のキャリアを台無しにする恐れがあります。

もし、「プロジェクトから離れたいものの次のキャリアが定まっていない」という方は、ぜひキッカケエージェントへご相談ください。キャリアに適した求人の提案から書類添削や面接対策、入社条件の交渉代行までを退職希望日から逆算しながら伴走します。

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